[コメント] 欲(1958/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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伴淳のマッドサイエンティストもの。タンクと連発されるのは次第に睾丸のことと判明、これで不老不死の薬つくっている。猫の睾丸から始めて人間のものが効果高いと人選するのが笑わせ処で、最後は自分の睾丸摘出している。手伝って特許取って一攫千金を企む三國連太郎は記者の渡辺文雄に取材させ宣伝。怪しい製薬会社社長森繁など絡むのだが、不思議なほど面白くない。
伴淳は原水爆実験は絶対反対と生物の生命力を追い求めるという時代背景を求めており、これが失敗に終わるというイロニーがある。渡辺は「放射能雨」の採取という仕事をホッタラカシにしている。また、三國は貧乏農夫の青山宏に借金帳消しにするからと睾丸提出を求める侘しい件もある。こういう苦い細部は効いているというべきかどうか。本作は島根ロケで、安来節(八雲節と変名)が踊られ、神社神道の本質はエロと語っている含みがあるだろう。
苦いユーモアという趣旨は了解できるのだが、笑えば笑うほど観客は虚しい方向に引っ張られる、笑えない喜劇になっている。それなら喜劇にする必要があったのかと考えさせられる。観客が自分を嗤う喜劇は存在価値があるのかと思わされる。
収束では旧友の医学権威千田是也が来て、全部失敗に終わって痴呆状態になった伴淳を慰め抱きしめる。不老不死は誰もが夢見る、精神病院で休もうと車に押し込んでしまう。これでは放送禁止だろう。『愛と死の谷間』『或る夜ふたたび』に本作と、狂人ネタに対して五所は無防備が過ぎた。原作尾崎士郎「ホーデン侍従」。
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