[コメント] 五重塔(1944/日)
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優秀だが礼儀知らずの後輩を持った先輩はどう振る舞うべきかについての考察。本作の答は優しく見守れということだった。短尺ゆえ話は原作のダイジェストなのだろう。撃ちてし止まむ情報局映画。OPタイトルなし。
のっそり十兵衛花柳章太郎は才能溢れる大工だが変わり者。身なり構わず無精鬚生やして大工仲間とも交わらない。感応寺の五重塔建立に魅せられて源太親方の柳永二郎差し置いて上人に直談判の土下座。お堂は親方がつくったから塔は俺だ。上人はふたりに任せ、源太はふたりでやろうと提案するが十兵衛は断り、工事の初日には鬚剃って颯爽と現れて大工衆の信頼勝ち得たりする。
源太の部下は職にあぶれて十兵衛を襲ったりするが、源太は叱りつける。「台風が吹いた後のようにさっぱりしているんだ」。親方が何であっさり手を引くのか今一つ不明なのが映画の欠点ではある。塔建立の資料を十兵衛に預け、十兵衛は返したりしている。「何から何まで自分ひとりの力でやりたいんだ」。鑿持ったまま寝て寝言云ったり、井戸水被ったり、十兵衛が変わり者なのはよく判る。
完成祝宴。奥さん森赫子が列席できず外にいるのが時代。源太は物干し台から完成した塔を眺めて、雨降り出しても下りてこない、といういい描写がある。そして嵐。「仏罰ではあるまいか」「塔がゆらゆら揺れている」。酒呑んでいる十兵衛の処へ寺の小僧が四人現れて、一斉に何とかしてくれと声出して頼む件が奇怪で何故か印象的だった。十兵衛駆けつけると源太が先に来ていて「見事な出来栄えだ。大丈夫、釘一本緩んでないぞ」「親方」と美しく終わる。
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