[コメント] 鹿の王 ユナと約束の旅(2020/日)
飽きのきたヒロイックファンタジーではなく、難病が生み出す破滅と戦う者たちの物語と思えば新味はある。だが、それでも「知らない世界のお伽話」と見えてしまうのは、コロナ全盛の今でさえアレゴリーは充分でなく、世界を語るに舌足らずであるせいだ。2時間で語るのは無謀であり、1クール以上を費やさねばこれは全くの他人事だ。
世界描写には興がのった。中央アジアから東欧の遊牧民生活に似た王侯から庶民までの人々の生活は興味深い。また、医師のような存在を俎上にあげるのはこのような物語では新鮮だ。概してアート部分で賞讃すべき点は大きい。
だが、こうした点からも語り足りない要素は多すぎる。ユナのようなアイキャッチキャラに重きを置くのもそうした性格上理解はできるが、寡黙な主人公ヴァンがユナを語るにいたり奇妙に饒舌になるのには違和感があった。妻子を病魔に奪われた彼ならではというのは判るが、2時間ワクのなかでこの少女がとくに魅力的に描かれていない所為もあり、少々強引にも思われた。
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