[コメント] Tメン(1947/米)
タイトルのTは、Treasury。米国財務省を意味するとのこと。冒頭、財務省の仕事を紹介する部分がある。本作は贋札偽造犯を追うシークレットサービスの話。開巻シーンで、チャールズ・マックグローが、暗闇から、ヌッと現れる。
マックグローは悪役側でも、ボスに雇われている用心棒的な使用人ではあるが、本作の悪役の扱いの中では、一番見せ場が与えられている。役人側、主人公は、デニス・オキーフが演じる。
オキーフは、相棒のアルフレッド・ライダーと共に、デトロイトからLAへと潜入捜査を進めるが、中盤で、偽造犯一味の手掛かりのキーとなる人物として登場するのが、スキーマー(策士)と呼ばれる男、ウォーレス・フォードだ。この人、弱いくせに嫌らしいキャラが上手い。彼がサウナで、マックグローに襲われるシーンの情けなさがいい。このシーンのマックグロー、まるで、狂ったカーク・ダグラスみたいに見える。この後、フォードが喋った情報によって、相棒が目の前で撃たれる場面のオキーフの渋面の画面の強さも明記すべきだろう。他にも、贋札の原盤を貼り付けてある洗面台の下から、オキーフとマックグローを撮った凄い仰角カットなど、画面の強度は最高レベルだ。このような、パンチのある仰角とアップカットが全編散りばめられている。プロット構成的にも、ボスの存在の見せ方の妙や、ラスト近くの犯人側の裏切り等、なかなか捻って見せてくれる。全体に良く出来た犯罪映画だ。
#本作の姉妹編的位置付けが、リチャード・フライシャーの『罠を仕掛けろ』(1949)だ。やはり、冒頭、米国財務省の実録風紹介コーナーがある。
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