ホアキン・フェニックスの住まいはＮＹにあり、デトロイトとニューオーリンズは、フェニックスの仕事先（出張先）で、ＬＡは、彼の妹−ギャビー・ホフマンとその息子ジェシーの家がある場所だ。これらのとても特徴のある４都市を背景にしている点がまず、本作の画面造型における戦略だろう。

　フェニックスの仕事はラジオ・ジャーナリストということだが、主に各地を回って、子供たちへインタビューをする、という部分が繋がれる。インタビューのテーマは「自分の世界と未来について」。子供たちの応答は身につまされ、心が洗われるが、特にエンドロールまで、こう矢継ぎ早に見せられると（聞かせられると）、お説教されている気になる面もある（本作自体が教条主義的に感じられる面がある。ま、それは多分に私の心性の現れだろう）。

　ごく私事になるが、フェニックスと甥のジェシー、あるいは妹やジェシーの父親−スクート・マクネイリーの描写を見ていると、私自身の家族（妻子、父母、妹弟）のことを考えずにはいられず、例えば息子が小さい時に迷子になりかけたことなど、自分の過去のエピソードを思い出すことに耽ってしまい、映画の画面に集中出来なくなることもあった（よくあることではあるが）。ほゞ全編、涙目で見る（もちろん、それは、映画の良し悪しとは別の話です）。

＃ＬＡの家の壁には、ルイーズ・ブルックスのポスターが貼ってある。