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[コメント] 東は東(1952/米)

キング・ヴィターとは思われん低予算で地味な映画だが、シャーリー山口の苦労は日米の文化差を埋めるのに幾ばくかの貢献があっただろう。好感を持って観た。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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朝鮮戦争の死屍累々から病院、故郷への手紙に託けて看護婦のシャーリーを口説くドン・テイラー。退院してジープでお寺の門としか見えないシャーリー邸へ参上。父ミスターシミズ(フィリップ・アーン)は畳のうえに杖をついて歩き、「日本にはよい風習があります。あなた方には野蛮に思えるでしょうが」「お互い様です」。で、神へ生贄を捧げると云いながら机に乗って遊んでいた小猿を刀で突き刺そうとする。逃げ出すドン。後でアーンは、文化の違いを伝えるためのショック療法と云い訳しているが、なんでそんなショックを与えなければならないのか、さっぱり訳が判らない。

ここまではトンデモ映画の調子だが渡米してからは真面目になる。真面目だが、和服で渡航するシャーリーとか、ひな人形セットが新婚家庭に贈られるとか、いい加減な箇所もあり、何でシャーリーはこれは違うと指摘しないのだろうか不思議ではある。シャーリーは背が低く、日米女性の身長差が強調される。黒人労働のレタス出荷場までの大規模農場の描写が興味深い。日本人の隣人早川レーン・中野は、真珠湾を受けて家族が収容所に入れられたと語る。ジャップは悪口。

物語は善人と悪人が明快に過ぎ、嫁姑問題とモテ過ぎる亭主の過去精算で小さいが、ドン・テイラーの元恋人は兄がバターンで戦死したとシャーリーを嫌っているという描写には遣りきれなさがある。逃げるシャーリー。終盤登場するシャーリーを匿っている座っているだけの婆さん千葉ひさの佇まいがいい。シャーリーもああなるのだろう。ラストは追いついた亭主の抱擁。

(評価:★3)

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