[コメント] 左様なら今晩は(2022/日)
もっとも、どういう題材の映画か分かってからは、陽平−萩原利久のリアクションが、茶番劇に見えるシーンが少なくなかったが。では、気になった点、良かった点の順番に感想を記そう。まず、上にも書いたように萩原も久保もキャラ造型は緩いと思ったが、その他、不動産屋の宇野祥平の描き方も緩い(シーン導入部の電話の会話もウザい)。また、霊媒師役の中島ひろ子について、登場時のルックスから、もっとぶっとんだ造型かと期待したのに、思ったほど活躍しないのだ。もっと振り切ったディレクションでも良かったんじゃないだろうか。あるいは、久保と萩原が、デートに出る際の、石垣の下の道へ飛び降りるショットは見どころだと思って身構えて見たが、こゝも大したことがなかった。このあとの、自転車二人乗りのシーンで、宇野がそれを目撃するショットがあるけれど、彼の顔つきから、久保も含めて見えているように私には感じられた。それを云うなら、広島風お好み焼き屋のオバサンには見えていたのだろう。さらに云えば、萩原の会社の同僚−小野莉奈にはチラッと見え、霊媒師の中島には見えてなかったようなのだ。この辺りの個人の能力差を何も説明せずに流すのはいいが、気にはなる。そして、灯りをつけたまゝ寝ている萩原に久保がキスするシーンで、接吻の瞬間を見せないのは、これは私はノーグッドだと思った(大人の事情だろうか)。
次に、良かった点で、まず書くべきは、ヒロインの可愛らしさの造型はしっかり成功しているという点だろう。特に久保の広島弁(備後弁)がとても可愛い。足フェチの私としては、彼女のシーンの中で、萩原がサンダルを買ってプレゼントする場面があり、久保の足を見せることに拘っているのもいい。この前に、ベランダで裸足の足をアップで見せるショット(伏線)もある。女優では、萩原の同僚の小野が、やたらと話しかけてくる人で、この人にはちょっとしたセクシー場面も用意されていて、魅力的に演出されている。あと、萩原の部屋のベランダからの高さの感覚は、最初、4、5階に見えたのに、途中で部屋番号が101だと分かり、あれ?と思った。しかし、高台の石垣の上のアパートなのだ。この高低の見せ方はいい。そして、夜の屋内の照明が綺麗な点も私としては特記したい部分だ。久保が萩原の喉仏に触れるシーン。尾道プリンを食べた後、ソファの隣に座らせハグする場面(生きてるのと同じじゃん、と云う)。あと、尾道シネマという映画館の使い方もいい(この映画館が出て来てはじめて、私は本作の舞台が尾道だと分かった)。
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