[コメント] 恋人までの距離〈ディスタンス〉(1995/米)
ダイアローグのロードムーヴィーとしてファンタジックな空間を抽出したプロダクションがGOODなロマンス
劇中二人が寄り添いながら片時も離れることがないのに、ずっと孤独が傍にいるという叙情溢れる感傷的な映画である。限られた時間の無常観はラストシークェンスの二人のカットバックの中に静かにその滋味を湛えて切なくも美しい。この映画のマジックは会話という日常的なコミュニケーションに非日常的なファンタジーを抽出する視点である。二人は出会って別れるまでの限られた時間、その限定的な状況であるからこそ両者は自分を印象付けるために言葉を選びその言葉によって伝えられるところの印象を内省する。そこに自己防衛の本能と他者との同一化が内在する優柔不断な葛藤が生まれドラマの奥行きを深くする。一瞬を永遠のものとしようとする共同作業は、行きずりの出会いという運命において可能であった。決して定着することが永遠ではないというロマンスの描き方が、この衒いのないダイアローグの綾にファンタジーが結晶して成功を見た。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。