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[コメント] Tommy トミー(1975/英)

初体験の相手がティナ・ターナーだったら一生トラウマ
てれぐのしす

まず最初に一言。「ピート・タウンジェントは変態である」

ロックの世界に「変人」は沢山いるが「変態」は意外と少ない。数々の武勇伝を残したツェッペリンやストーンズだって「変人」である。故キース・ムーンとて例外ではない。わずか500メートル先のクラブに行くためにわざわざヘリコプターをチャーターするのは「変人」であって「変態」とは言わない。その中にあって、ピート・タウンジェントのイカれ具合はまさに「変態」の名に相応しい。では「変人」と「変態」の線引きはどこでするかというと、「屈折の度合い」なのだと思う。「センス」という言葉は今日では誰でも簡単に口に出来る言葉なので、ここでは「美意識」という言葉を使うが、ピート・タウンジェントの美意識は誰を意識するでもない、自己の内面から湧き出して来る静かなる異常性にあり、ツアー中のホテルで、グルーピーのまんこに花を突き刺して大真面目な顔でそれをスケッチするという行為に昇華される。もちろん内容なんかない。ようするに何も考えず、ただやってみたいことをその場で思いついて、そのままやる。ただその思いついた世界は、我々凡人からすると完全にキチガイの領域である。しかも困ったことにこのキチガイは金を持っている上に、その屈折した狂気の世界を映画というわかりやすい媒体でもって我々に啓蒙しようとしたのである。困ったもんだなあ、タウンジェントも(当時若気の至り真っ最中だったはずの)クラプトンも。

おそらくは莫大な予算をかけて作成された、ドラッグ・セックス・ロックンロールの誇大妄想映像。すごく深いメッセージがあるようにも見えるのは、実は何もないのかもしれないと考えただけで空恐ろしいからなんだな、きっと。

(評価:★5)

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