[コメント] 世界は僕らに気づかない(2022/日)
出稼ぎ外国人の母とハーフ息子の葛藤と高校生ゲイの恋愛が描かれる。視点は偏見や差別にさらされる苦悩ではなくマイノリティとしての“生き方”の確立。飯塚花笑脚本の繊細さがリアルを、演出の力強さが光明を担保して、易くはないが難くもないを明日を提示する。
マイノリティの現状や心情を、マイノリティと言われる作家の“リアル”として提示して、その「リアルさ」を武器に社会の硬直を撃つ。昨年(2022)観た川和田恵真監督の『マイスモールランド』と同じ力強いポジティブさを本作にも感じました。
あの時に書いた『マイスモールランド』のコメントも引用しておきます。
〔引用〕実はこのアイデンティティの葛藤は、私たちが在日コリアン世界を描いた秀作映画でも見てきたテーマだ。そんな普遍的な課題を、不法滞在とされる日本人になれない外国人の子供たちもまた、当然のように抱えているということを、何も知らない私(日本人)たちは、映画としてやっと見ることができたのだ。この視点からのアプローチは日本映画にとっても、さらに、硬直した難民認定制度を撃つ新たな“武器”としても、今後もっと多様に、もっと図太く展開される予感を持って、大いに期待します。
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