[コメント] サハラのカフェのマリカ(2019/アルジェリア=仏=カタール)
堂々たる体躯の老女。マリカはどっかと椅子に掛け客の話を聞く。異国の遠来者とのチグハグさを楽しみ、興が乗れば音楽隊の演奏に踊る。不躾な質問ははぐらかし、哀れみにはユーモアのバリアを張り、客が去ったあとカメラに向かって本音をもらし愚痴ってもみる。
老いたひとり身を案じる来訪者たちにマリカは言う。私は孤独ではない。決してひとりではない。いつも神と共にいると。そして来訪者たちは“神のご加護があらんことを”と祈りの言葉を残し砂漠の果てへと去っていく。
マリカは頑固者でもなければ、世を捨てた達観者でもない。まして気の利いたリアリストなどではない。現実を有りのままに受け入れるだけなのだろう。幸不幸という概念などマリカの日々には存在しないのかもしれない。私のような凡人には、それが一番の幸福にも思えた。
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