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[コメント] クリード 過去の逆襲(2023/米)

メガロボクス世代のこどもたちへ
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ロッキーは登場せず、リトル・デューク、ヴィクター・ドラゴ、リッキー・コンランなどの「クリード」シリーズが生み出したキャラクターたちがドラマの脇を担う。旧世代から自立した映画を作らないと終われないという気持ちは理解できる。クリード母も死ぬ。これは今作のいいところだと思った。

ボクサーが相手の肉体を、その弱点を「見る」。観察する行為が対人競技の試合展開を変えてゆく、という描写はこんだけボクシング映画があっても今までほとんど成されなかった表現だ。たぶんマイケル・B・ジョーダンは、これがやりたくて監督したんだと思う。

デイミアンと闘うリングが暗闇の檻になるイメージは、あまりにもアニメ的な表現主義で乗れなかった。ボクシング映画で試合場が野外スタジアムなのは珍しく、ロケとCGを組み合わせたいい挑戦をしていると思ったのだけど、まあ試合の半分くらいは暗闇の檻だった。ちなみに檻は鉄格子で、孤児院育ちのクリードの幼少の記憶と結びついていると思われる。そのへん観客が察して汲んでやらなくてはならない。こういうのは新人監督の手のかかるところだ。

ブランク18年のデイミアンがプロ1戦で世界王者になってクリードと激突、というお話は荒唐無稽で、『ロッキー5』みたいにストリートファイトで決着をつけてくれてもオレは全然ええんやでと思ったのだが、オレ以外の人類全員がそれじゃイヤだと言うから仕方がない… それにしても、無茶な脚本をすべて「仕方ない」で押し通す映画になってしまった。これは固有の人生を描く固有の映画としてはどうにも弱く、オレは大いに不満だった。ま、お疲れ様というところである。あとオマケのアニメは邪魔で、正気とは思えなかった。youtubeでやれや。

(評価:★3)

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