[コメント] ブライアン・ウィルソン/約束の旅路(2021/米)
ブライアン・ウィルソンは、きっぱりした返答が特徴的で、彼の性格が分かるような気がする。以降、多くの記録映像(動画、スチル写真)で過去が振り返られ、エルトン・ジョンやブルース・スプリングスティーンをはじめとする、業界人のインタビュー映像も多用されるが、本作のもっとも目を引く(ある意味奇異な)演出というか趣向は、現在のウィルソンへのインタビューシーンが、ほゞ走行中の自動車の中で行われるということだろう。
自動車は彼の生家跡や最初の妻と暮らした家、弟の家などを回る。これにより、ロードムービー的興趣も出ている。聞き手は元ローリングストーン誌の記者(ジェイソン・ファイン)で、聞き手が自動車を運転し、ウィルソンが助手席に座った映像が繋がれるが、車載カメラは3台使っていると思われ、3台ともダッシュボートに固定して撮られている。なので、後ろからの映像は無しだが、3つのアングルの映像が上手く編集され、緊張感のあるインタビューシーンになっている。と同時に、ウィルソンと記者の信頼し合っている関係性がよくうかがえる、良い画面造型だと思う。
また、現在のウィルソンのスタジオでの楽曲づくりの場面もスリリングで良く、さらに、スタジオで、彼の父親との関係のエピソードが挿入されるタイミングから、いきなり画面が不穏な動きをする演出には、心かき乱される効果があった。なんか見ていて狼狽してしまった。
勿論、ビーチ・ボーイズのヒット曲が沢山聞けて、それだけでも楽しいが、楽曲としては、アルバム「ペット・サウンズ」の革新性とその中から「神のみぞ知る」、そして原題タイトルにも採用されている(エンドロールもこの曲である)「ロング・プロミスト・ロード」が大きくフューチャーされている。
#「Long Promised Road」は、チネチッタ(川崎)のテーマソングですね。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。