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[コメント] 濡れ牡丹 五悪人暴行編(1970/日)

殺しの烙印』路線だがずっと地味。真湖道代パートと大和屋竺パートが7対3の割合で併存し、面白いのは後者。なお物語は別に難解ではない。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







前者はAカップの真湖道代が、皆殺しにされた麻薬取引現場の唯一の生き残りとして拷問されるのだが、彼女の悶絶を見て好事家が悦んだ昔の映画という感想。絡む有象無象のギャングたちは港雄一の「俺の子供を産んでくれるか」と絡む変態振りも、同棲を始める山本昌平の右翼っぷりも半端。なかでは中国人ギャングが面白い。「脳天ファイラーになるよ」と懐かし過ぎるギャグを口走り、ピアノで猫ふんじゃったを流暢に弾いている。いまや純粋に滑稽なキャラとは云い難い。

後者は面白い。麻薬取引を襲おうと山の中腹で待っていたら訳の判らない女がギター弾き始める冒頭もいい。このギターの弦でブツを縛りギターケースに入れて埋めて(埋めたのは最後に判る)絃の切れたギター持って逃走。匿われた娼婦の部屋で箪笥の上に亭主が潜んでいる件が奇怪だ。美人局かと思いきや住んでいるだけらしく菓子を喰らい始める。

ただ、これだって精薄者を笑いモノにしているのだから時代の産物、しかも三人とも口がきけないのだった。好意的に見れば切ないブラックユーモアではある。太和屋は後日にも逃走中にこの部屋を馬鹿のように再訪してしまう。住所を尋ねて撃ってから戻ると撃ち返される件をパンの往復で捉えたいいショットがあった。最後はギター娘の「どうしてみんな死ぬの」で終わる。劇伴のギターがフューチャーされたジャズは格好いい。

(評価:★3)

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