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[コメント] 遺灰は語る(2021/伊)

死と記憶を巡る物語。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ヴィットリオお兄ちゃんが亡くなって、弟パオロ実に91歳にして初の単独監督作品だとか。

現実世界で「兄の死」に直面した監督が、なんなら自分の死期もそう遠くないことを自覚しながら、故人に対する周囲の人々の「記憶」を描いた作品と言えそうです。「本当の死は人の記憶から忘れ去られた時にやってくる」というようなことでしょうかね。本編もおまけ(?)の短編「釘」も。いい話なんですけどね。「死と記憶を巡る物語」以上の解釈は生まれないなあ。

ちなみに遺灰となった文豪ルイジ・ピランデッロという人は実在するノーベル賞作家なんですってね。てっきり嘘っぱちかと思った。村上春樹「風の歌を聴け」で何度も引用される作家デレク・ハートフィールドみたいに。あるいは三谷幸喜「王様のレストラン」冒頭の格言みたいに。実在すると思わせて全部創作というね。タヴィアーニ兄弟にはそういう茶目っ気はないようです。コーエン兄弟ならやるけどね。

(2023.06.25 ヒューマントラストシネマ有楽町にて鑑賞)

(評価:★4)

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