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[コメント] 甦る三大テノール 永遠の歌声(2020/独)

これは、やっぱり三大テノールの歌声を堪能する映画。それでいいです。カラカラ浴場の「ロングトリル」合戦は見もの。そしてMVPは指揮者のズービン・メータ
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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三大テノールの競演。少し前の『パヴァロッティ 太陽の歌声』でも紹介された、最高の競演。とはいえ、やはりカレーラスの復帰を祝う、最初のローマ・カラカラ浴場での公演が「至福」。あとは劇中でもあったが、「金勘定」が絡んできて、そして'94のW杯アメリカ大会での米国のプロモーターの「金の亡者ぶり」が強く描かれている。「搾り取る」って言われていたね。

だからやはり最初のステージ「だけ」が特筆となる。ライバルでもあり、関係が微妙だったパヴァロッティとドミンゴ。その二人の間を仲介し、そして全体をまとめ上げるのは、指揮者のズービン・メータのなせる業。明るい性格でかつ出しゃばらず、個性の強い三人を上手く乗せてまとめ上げる。彼がいなかったら、このステージも、のちの公演も成功していなかったろう。

'90のW杯イタリア大会の最中のイベントで、撮影スタッフなどもサッカーの試合にとられて不足している中の大きなイベント。それを見ていたのも、オペラファンではなく、サッカーファンだったとも。そんな中で3人が集まれたのは、カレーラスの復帰を祝うという純粋な動機があったのは間違いない。

ステージは大成功、そして、わずか10秒ほどでメータが中心となって決めた「アンコール」が本当に鳥肌でした。何にも打合せしていなかったからこその奇跡。じつは本編最後の曲も「オーソレミオ」だった。だからそれを繰り返すだけのはずだった。じつはパヴァロッティは「歌割り」を間違えて、「間違えちゃった、テヘッ」みたいな顔してた。そのあとのソロパートの「ロングトリル」。♪アァン ナア〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

劇中でカレーラス(ドミンゴだった?)が言ってたけど、今ではみんなやるようになった長いトリルを、ここぞで披露したパヴァロッティ。そこでドミンゴとカレーラスがこそこそっと内緒話のあとの、二人の「ロングトリル返し!」♪マァン ナ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。この時のパヴァロッティが振り返り「えぇ、マジ?」という顔、二人の「してやったり」という顔、楽団たちの驚きの笑顔、そして見守る指揮者。この瞬間が最高です。Youtubeにも、この部分の動画があるので、ぜひ「通常のオーソレミオ→アンコールのオーソレミオ」を比べてみていただけたらと思います。

W杯ごとに開催されるコンサート。その都度、「その土地の音楽」をメドレーで混ぜているらしいが、日韓大会の横浜では、何を歌ったんでしょう?気になります。

(評価:★4)

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