[コメント] 航空都市(1935/露)
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登場する日本兵はふたり。ひとりは伴淳、ひとりは加藤武によく似ている。国境超えて都市建設妨害のダイナマイト運ぶ日本兵と、森の中で銃撃戦。逃げまくる伴淳を追いまくる主人公、和服着て眼鏡かけている伴淳は追いつかれて観念。「死ぬ前に喋らせろ。お前の国は全部嫌いだ。集団農場も嫌いだ。全部くれ。アジアは我々のものだ」。なんたる卑屈な兵士だろう。暗闇で銃声がして殺されたらしいと判る。本作のソ連兵は血も涙もなく殺しまくるキャラ。
敵アジトを発見したと思ったら旧友のワーシリがひとり暮らし。群衆のいる村があり、満州から戻ったと云い、旧教徒と富農を求めていると云い、プラウダ読んで激怒。ここでも富農との対立は深いのだった。旧教徒対パルチザンという対立が浮かび上がる。パルチザンは老いた、と若者が語る。
神父の処に加藤武が登場して、山中で剣道の素振り。振り回すのが短刀ぐらいの半端な長さの剣で、これが実に間抜けに撮れている。もう止めてくれと思うのだがまだ繰り返す。実に恥ずかしい。
主人公は旧友と二人きりで森に入り、裏切り者めと処刑してしまう。敵だろうと旧友は必ず救う主人公、という定跡、当方の先入観が簡単に覆され、驚嘆させられた。さっさと負けを悟った加藤武は切腹しようとして、笑われて主人公の息子に飛びかかり、ねじ伏せられる。これも恥ずかしい。
冒頭、「ボルシェビキ万歳、太平洋岸に航空都市を建設すべし」と字幕が出てプロペラ機が飛び、アムール川越えて日本海沿岸。ジェット機も飛びボートが群れをなす。そうか建設が始まるのだなと思ったら、ラスト、飛行機の大編成が飛び、翼の腹から次々と落下傘、パレードがあり「都市建設を始める」。まだ建設は始まっていなかったのだった。
ソ連兵の妻バンリンは中国人で、仲良し中ソを強調している。『大地』の名監督は何がしたかったのだろう。
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