[コメント] 君たちはどう生きるか(2023/日)
同じ話をやるにしても、シアマの『秘密の森の、その向こう』が母の不穏に筋を運ばせるのに対して、こちらはわからなさが性欲の契機となる。少女の昂ぶりがわからない。好意の理屈のなさから作者の性癖が演繹されると筋はボンヤリとした官能に運ばれてしまう。
継母の蠱惑的なパーツが筋に当座の方向性を与え、『秘密の森』が放置した時空の弛みが現実によるジブリアトラクションの支配に利用される。戦災の影というマクロの状況と少年の孤独というミクロの負い目が絵空事に感情を定着させる取っ掛かりを与える。残念ながら、一々感情を説明せずにはいられない久石の劇伴はこれらのアイロニーをぶち壊しにしている。
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