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[コメント] オー!(1968/仏=伊)

 伝説になろうとした男、革命を起こそうとした男、“選ばれし者”になろうとした男。どう見ても「軽やか」じゃなくて「頑張ってる」ベルモンドがナイス。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 だって、見るからに無理そうなんだもん。すんごく「頑張ってる」ところがもうダメでしょこれは、というオーラを発している(ような気がする)。そんなところが微笑ましい。でもたまに「ベルモンドならできるかも」なんて思えちゃうんだなあ。彼のイメージを上手く使った映画ってとこだね。

 「憎みきれない犯罪者」なんてそんなのいるわけない。いるとしたら、そいつは本当に“選ばれし者“だ。つまり自分からなりたがってなるものじゃなくて、どっかの誰かに「選ばれた」、天然物だってことだ。そんな奴はほとんどいないだろうよ。“ロイ・ビーン”とか、“ビリー・ザ・キッド”とかかなあ。フランス人だから“アルセーヌ・ルパン”とか“ルパン三世”か?まあ、とにかくほとんどいないってこった。その辺のチンピラ風情のオーが、選ばれしものになりたくて足掻く物語、というとなんか『アマデウス』みたいだあ!

 彼に欠けていたもの、孤独な男には付き物の「陰り」が最後に補完されたわけだけれど、さあそれからどうなるんでしょうかね。孤独な男ってそれは寂しげな影を持った男ってことだよ。誰かを捨てたか誰かに捨てられた男ってことだよ。

 彼は本当に、暗い影を持ったラフマニノフの似合う男になれるんでしょうかね。そしてゆくゆくはリノ・バンチュラみたいになれるんでしょうかね。この彼はサリエリさんほどに苦悩したりするんでしょうかね。それをやんなきゃ堕ちてくだけだ。それをやっても堕ちてくだけだ。運命は残酷だ。だって彼は選ばれていないのだから。 似ているようで全然違う、もうひとりのルパン・ザ・サード。

 どうでもいいけどあのベッドすごいなあ。

(評価:★4)

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