[コメント] さよなら ほやマン(2023/日)
東北の震災から12年という歳月を費やして、ようやくこんなにさわやかな物語が作れるようになったのかと感慨深い。あまたの日本映画が「あの震災」の後遺症を描いてきたが、本作は「その傷」を若者の明日に向かって見事に昇華した快作として記憶されるべき映画だ。
呉城久美、アフロ、黒崎煌代という若い役者さんたちが伸び伸びとしてとても好い。彼らは、それぞれ心のなかに傷を持ちながらも内省的に悩む前に、現実として彼らの未来に立ちはだかる壁を前にして足踏みをしたり、堂々巡りをしている。
彼らにとって心の「傷」などどうでもよいのだ。彼らにとって重要なのは「今」であり、課題は日々の「現実」にどう対処するかなのだ。本作は、そんな若者たちが互いに触発し合っていつの間にか前に進み出すまでの物語だ。今が、そして現実が重要なことに、ようやくみんな(日本映画界も)気づき始めたのだ。だから、この物語には自省や癒しにつきものの湿っぽさが一切ないのだ。
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