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[コメント] 生きる歓び(1960/仏)

これはかなり面白い。冒頭雨の中で傘をさした群衆が爆発により散っていく場面から傑作を予感させる。大勢の人間がぞろぞろ歩いたり同じような動作をしたりするだけで面白い、とにかく群衆の演出が冴えている。政治的な題材を扱ったコメディでありながら知的な台詞ではなくあくまで荒唐無稽な運動による笑いが中心であるのが良いのだ。ルネ・クレマンは良い仕事をしている。
Sigenoriyuki

**ネタバレ注意**
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踏むと動き出す印刷機、屋根裏部屋に鳥と住む老人、旗を掲げるために高所へ登る場面では石が地面に落ちるまでを1カットで捉える、連絡装置となる水道管、懺悔室で神父を演じるアラン・ドロン…このように魅力的な要素に事欠かない映画であるが特に素晴らしいのは序盤王制派がアナキストの集会へなだれ込む場面だ。扉が自動車で破られる、滑って転ぶ、ソーセージを首に巻きつける、パイを投げつける、ハムの塊で殴りつける、はかりに豚の頭と人間の頭が載る、帽子が脱がされる、ビンタが飛び出す、とにかく物が壊されまくる。破壊のパワーと混沌に満ちている、この荒唐無稽さこそが映画である。

(評価:★4)

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