[コメント] 東京マダムと大阪夫人(1953/日)
木造平屋建の二戸一住宅に連なる白ペンキの柵、転圧された道路の片隅で飼われるアヒル。オイルショック以前は、公園や学校でやたらとアヒルが飼われていた。あれは何だったのだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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本作で面白いのはこの社宅の風景であり、ここで繰り広げられる主婦連の社内政治であるはずだった。民活の現在、社宅は激減しているが、かつては一部上場企業なら必ず社宅を持ったものだった。このゲゼルシャフトとゲマインシャフトの奇妙な混淆系は社員のプライバシーなどお構いなしに、私生活を相互監視する制度だった。家に帰ってまで何で会社の奴らと付き合わねばならんのか。冒頭で解説されるように前提に住宅難という事情があったのであり、誰もがこれに耐えていたのだった。
だから本作、序盤の調子で会社まで巻き込んで社宅の不自由を告発すれば、相当に面白い社会派喜劇に膨らまされただろうに、何故か相克は坂本武の庄屋の暖簾を守る守らないという、どう考えてもテーマと別のところで発生し収束する。それって、違うんじゃないの、という作品。高橋貞二の正論を吐く馬鹿の造形は川島らしく痛快であるが、彼とてこの社宅にとって唯のマレビトで終わっている。
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