いい話なのは重々判るのだが、とにかく情緒の濁流でなんでもかんでも押し流しすぎだと感じる。まず「社会人アマチュアプロレス」とは何なのか、金とるのかとらないのか、すべて持ち出しなのか、新木場の収支は、などの必要な情報が全然ない。

要するに大人の学生プロレスなわけだ。オレは学プロで笑いもとれずに本気で体鍛えちゃうバカが大嫌いでねえ、ニセモノがマネッコやってんだということをまず肝に銘じろよと思ってる。「我々はニセモノである」という自認がニセモノに絶対必要な矜持であり、新根室プロレスの面々も当然判ってる。判ってるかどうか怪しいのはこのドキュメンタリーのスタッフだけで、そこは非常に有耶無耶になっている。後半なんか普通のプロレス団体の普通のプロレスラーの闘病記を取材してる気になってる。悪い冗談はよしとくれと、斯様に思う次第であります。