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[コメント] THE MOON(2023/韓国)

リアルというよりも「多分ああだろう」という想像にピタリとはまる画、ぐっとくるドラマ、人間を助ける健気な(或いは時に生々しく敵対する)存在感のあるロボット、とSFの名作といわれる条件が3拍子そろった良質なSF。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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月面での描写はリアルというよりも、「実際にはあんな感じじゃないかな」と納得できるものであった。大半はCGなのだろうが、荒唐無稽な画を無理やりCGで見せられるよりも、本作のCGの使い方ははるかに良いと思う。(序盤のイノシシのCGは安っぽかったが)

ドラマでは、5年前の事故云々というのも悪くはないし、それはそれでいいのだが、そのエピソードよりもNASAの韓国系女性幹部キム・ヒエが、自らのキャリアを投げ捨ててでも、国際宇宙ステーションのクルーらに、切々と救助を懇願するシーンにぐっと来た。

4人のクルーは、映画としては端役に近いものだが、その4人の国と名前を一人一人呼ぶことで、それぞれが一人の人間として目の前で命の危機を迎えている人間を助けてほしいと訴えているように思えて、熱いヒューマニズムを感じさせる、ていねいな演出だった。観ていて思わず涙がこぼれてしまった。

あと、マルとか呼ばれていたドローン。AIでもなく自律型でもなく、音声入力の指示に従うだけだが、月面到着後は人間の活動を見守り、いざという時には力強くサポートし、最後はその身を挺して人間を助け、その無事を確認して息を引き取るかのような姿だった。古今のSFの名作には必ずと言っていいほど魅力的なロボットが登場しているが、彼(彼女?)もその一つとして数えても良いと思う。

(評価:★5)

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