[コメント] めくらやなぎと眠る女(2022/仏=ルクセンブルク=カナダ=オランダ)
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深田晃司が演出したという日本語吹き替え版で鑑賞しました。
私は村上春樹好きでよく読むんですが、長編はともかく短編まで覚えてねーな。そもそも彼の短編は長編の習作のこともありますしね。「ねじまき鳥と火曜日の女たち」なんか典型例。まんま「ねじまき鳥クロニクル」の冒頭ですよ。女の子がアデランスのハゲ調査のバイトしてるかどうかの違いだけで。
思うんですけど、春樹作品は、読んでいてありありと光景が浮かんでくるそうすると映像化したくなるのが人情ってもんですよ。監督の気持ちも分からんではない。ただねえ、春樹作品は、光景は浮かんでくるんですが、ストーリーは映像向きではない。面白い「文学」と面白いストーリーは別物。春樹原作の映像化はこれに尽きる。
だってストーリーにしたら、ヨメに逃げられてメソメソしていた「僕」が他の女とヤルまでの話になっちゃうもん。え?かえるくん?あれは示唆に富んだ話ですね。あなたが謳歌している平和な日常は、誰かの地味な犠牲の上に成り立ってるんですよ。あの融資係と同様に、あなたの地味な仕事や努力は、どこかで誰かの役に立っている。逆に、今の自分の幸福は誰かのおかげと感謝して暮らすべきなんです。
あと、人の動きが本当に自然なアニメだなと感心して観ていたら、なんか実写撮影をベースにした技術なんですってね。一方で背景は絵画なんですよ。ほぼすべての背景が、消失点が明確な遠近法で描かれている。アニメの技術はめちゃくちゃ高い。絵柄の好き嫌いはあるでしょうけどね。
(2024.07.28 角川シネマ有楽町にて鑑賞にて鑑賞)
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