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[コメント] Chime(2024/日)

恐怖の随筆。恐怖枕草子。いとこわし。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







45分の中編。R15+。ナンダカンダと言いながら黒沢清作品をほぼ全て観ているんですが、究極の黒沢清作品だと思います。でも、オススメはしません。私はそこそこ高評価ですけど、オススメはしません(笑)

私は、黒沢清は「恐怖に対して真摯」だと評しています。「恐怖中心主義」と言ってもいい。ストーリーよりも「恐怖」重視。謎解きよりも「恐怖」。観客の納得よりも「恐怖」。 全ては「恐怖」のために。本作は、それが如実に現れた作品なのです。

つまり、黒沢清が考える「これ、怖いよね」集。物語じゃないんですよ。恐怖の散文。恐怖の随筆。恐怖枕草子。いとこわし。

集大成にも思えます。『CURE』であり、『回路』であり、『トウキョウソナタ』でもある。あと、寝袋はこないだの『蛇の道』でも使ってたろ。どうした?仕入れ過ぎたんか?

ただ、私は彼を「この世界は不安定であることを描き続ける作家」と評していたんですが、「真の恐怖は人間である」というのが本作の、そしてここ最近の傾向のような気がします。

たぶん、世界一の「ディスコミュニケーション」映画。劇中の登場人物もそうだし、作品と観客の間もそう(笑)

え?私の高評価の理由?ワンカット長回しの殺人シーン。最高じゃないか!

(2024.08.18 新宿シネマカリテにて鑑賞にて鑑賞)

(評価:★4)

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