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[コメント] 鍬と星(1936/米)

ダブリン。独立運動の集会についてのポスター。それを見る女性の後ろ姿にフォーカスインしながら、振り返らせる。スタンウィックの登場ショット。
ゑぎ

 続いてバーバラ・スタンウィックプレストン・フォスターのラブシーンで、2人はほとんど新婚か。窓の下、通りを男がやって来る。それを見るスタンウィック。男の用件が何なのか分かっているようだ。フォスターに外へ出ないように頼むが、大事な伝令だと分かり、フォスターはドアを開ける。指揮官に任命された、出頭せよ、事前に知らせたはず。スタンウィックが手紙を燃やしていたのだ。

 市民軍の行進。スピーチは、モローニ・オルセン。横にアーサー・シールズがいる。この2人がリーダー。人をかき分けていくスタンウィックの俯瞰や聴衆の横移動が繋がれる。クロスカッティングで酒場でのバリー・フィッツジェラルドら。彼はいつものキャラ。喧嘩になりかけるのがデニス・オディアか。フィッツジェラルドの斜に構えてくるくる回るファイティングポーズが可笑しい。ウナ・オコナーアイリーン・クロウの喧嘩と、店を出る際の、窓に石を投げる運動の反復。ちなみにクロウは、本作でも英国びいきの役を演じている(後の『静かなる男』ではプロテスタントの牧師アーサー・シールズの妻を演じる)。

 夫が市民軍の指揮官として戦争に取られたスタンウィックと、隣人の体の弱い娘モルサーの会話シーンでは、それぞれのアップの表情がとても良く撮られていて、グッとくる。フォード映画でも、1930年代前半に比べると、明らかに、良いアップショットが増えていると思う。

 また、戦闘シーンでは、機関銃の掃射の描写もよくできている。弾痕が壁に並んでいくショットなど、なかなか迫力のあるショットが続くのだ。銃撃戦の中、夫を捜すスタンウィックの場面なんかもある。郵便局に設置された市民軍の本部の中で、オルセンが横たわる柱のすぐ近くの天井が崩れてくるショットも凄い。あるいは、英国軍が家屋の中に踏み込んで来たシーンでの、フィッツジェラルドの勇ましさに胸が熱くなる。クダンのファイティングポーズで戦おうとする。

 そしてエンディングでは、建物の屋根上の、ボロボロになった3色旗が取り外され、捨てられる。綺麗に中空を舞う旗のショット。苦いエンディングは史実なので仕方がないが、しかしそれにしても唐突に終わった感がある。尚、少なくも、映画中ではタイトルの意味は分からない。見終わって調べると、鍬は北斗七星の形状を表す言葉とのこと。1916年のアイルランド市民軍の象徴が北斗七星だった、ということは、米国ではかなり知られていたのだろうか。

(評価:★3)

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