[コメント] 八犬伝(2024/日)
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恐るべき「南総里見八犬伝」。掴みは見事。犬士(剣士と音が同じ)の捜索・結集から関東大戦に至る壮大な物語。江戸時代にこれが出てきた曲亭馬琴の脳味噌は、やはり驚異としか言いようがない。
まぁ軍記物と呼ばれる史実に空想を加味したヒーロー物語は、「八犬伝」以前からあった訳だが。
しかし大風呂敷を広げるとやはり畳むのは難しい。馬琴のオリジナル未読で申し訳ないが、今回の様な大団円は単体では間延びもする。それを馬琴人生の大団円とする、原作=山田風太郎のアイデアは見事。
それにしても外連味に溢れた本作の演出は今ひとつだった。その点ではコアラアイドルを前面に押し出した深作欣二の『里見八犬伝』('83年)に完全に負けている。曽利文彦監督と『ゴジラ-1.0』('23年)の山崎 貴監督の対談(鼎談)動画があるが、テーマがSFXだったからとは言え、成る程『ゴジラ-1.0』のドラマパートをチープに感じた自分は間違っていなかったのだな、と再確認できた。
それでも、馬琴(役所広司)が家族の問題に苦悩したり、鶴屋南北(立川談春)との「虚/実論争」に追い詰められるところはなかなかに迫るものがあったから、脚本としては良かったのかも知れない。
◆ ◆ ◆
余りに八犬伝の物語が魅力的だったので、2006年のTBS開局50周年ドラマ「里見八犬伝」も視聴してみた。結論として本作の八犬伝パートより面白かった。配役が豪華且つ絶妙なのでここに記しておく。
主演(名ばかり):犬塚信乃戌孝(滝沢秀明):<孝>の玉 一応ヒロイン:浜路姫(綾瀬はるか):まだまだ大根 真打ヒロイン:伏姫(仲間由紀恵):お美しい
犬川荘助義任(額蔵)(佐藤隆太):<義>の玉 犬山道節忠與(小澤征悦):<忠>の玉 犬飼現八信道(押尾 学):<信>の玉 犬田小文吾悌順(照 英):<悌>の玉 犬坂(粟飯原)毛野胤智(旦開野)(山田 優):女田楽座の一員/<智>の玉 犬村(赤岩)大角礼儀(勝地 涼):赤岩一角の息子/<礼>の玉 犬江親兵衛仁(山下翔央):<仁>の玉
お殿さま:里見義実(長塚京三) ゝ大法師(金碗大輔孝徳)(渡部篤郎) 杉倉木曾介氏元(山下真司):里見家家臣 堀内蔵人貞行(奥村公延):里見家家臣
玉梓(祈祷師 妙椿):菅野美穂:エロ足りないがお美しい/山下定包の妻 山下定包:佐々木蔵之介:安房の先代領主(殆ど台詞無し)
犬塚番作(杉本哲太):信乃の父 亀篠(泉 ピン子):信乃の伯母・浜路の養母 大塚蟇六(小日向文世):浜路の養父・信乃の義伯父 網乾左母二郎(田辺誠一):名刀村雨を盗む浪人 簸上宮六(渡辺いっけい):浜路の縁談相手/大塚の代官 軍木五倍二(緋田康人):簸上宮六の家臣 船虫(ともさかりえ):遊女/本作では犬山道節と縁アリ ぬい(黒川智花):犬田小文吾の妹(細川ふみえじゃなかった!) きぬ(坂本冬美):犬川荘助の母 やす平(半海一晃):蟇六・亀篠夫婦の下人 代官所の役人(徳井 優)
扇谷定正(大杉 漣):関東管領 足利成氏(京本政樹):関東公方 籠山逸東太(武田鉄矢):扇谷家重臣 赤岩一角(陣内孝則):足利家家臣 横堀在村(金田明夫):足利家家臣 馬加大記(佐野史郎):千葉家重臣 畑上語路五郎(山口馬木也):千葉家家臣/殺陣を披露 巨田助友(坂口 拓):扇谷家家臣 品七(石黒英雄):千葉家家臣/小文吾と荘助に情報を流す 老人(村松利史):扇谷定正の行列で斬られそうに
クミ(三浦理恵子):女田楽座長(坂井真紀じゃなかった!) 乞食(大倉孝二):道節の情報屋 和女九郎(皆川猿時):船虫の客
ナレーション(ジョン=カビラ) 八房(犬)もキャスティングされているが、特に記憶無し
それにしてもスリリングな展開が『ロード・オブ・ザ・リング』に酷似しており、驚く。
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