[コメント] 野球ユーチューバー有矢(2023/日)
野球にもユーチューバーにもまったく興味ないくせに観たかった映画。観てみたら草野球ならぬ草映画の珍品でした。
映画としてあまりにもサブい瞬間、あまりにも気まずい説明ゼリフ、あまりにも図式的な倫理観、といったもので溢れている。この映画を酷評するのは簡単だろう。ただこの映画はちょっと他と毛色が違うんですね。ハッキリ言って、「映画よりも野球の方が100倍面白いと信じてるやつ」が作った映画なんですわ。監督も出演者も映画人ではなく、「野球人」として着想し、準備し、選択し、表現している。
たとえば俳優たちを、演技のうまさではなく野球の腕前を基準に配役している。だから野球場面の所作は皆さん見事なもんです。当然、それだけで映画が面白くなるわけではない。しかし彼ら野球人にとってはここは絶対に譲れない、命賭けてる晴れ舞台なのである。脚本や構成などいくらヘボくてもいい(マジで)が、野球人としては最高のプレーを見せなくてはならないのである。
こういう野球狂人軍団みたいな人たちに、いやーこれは映画としてイマイチだみたいな難癖をつけても、たぶん屁でもないと思う。しかし、あの場面のこれこれのプレーは下手だった、とか文句を言ったらたぶんバットでブン殴られると思うんだよな。つまりこれは映画の駄作というよりは、映画というジャンルの外にある別の倫理観によって作られてしまった変な映画と言うしかない。面白かったとは言い難いけど、観てよかったとは思います。
ちなみに「野球よりも映画の方が面白いと信じてるやつ」が作った映画が、『野球どアホウ未亡人』(2023)だと思っています。ま、わたくし野球ド素人なもんで全然違うかもしれませんが…
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