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[コメント] 暖簾(1958/日)

日本映画界最高峰の役者に属する、劣化しない魅力があり演技の幅も広い“森繁久彌”の一番だしが上手い巧い旨い。昆布の最高峰、肉厚があり幅も広い真昆布以上に旨い。そして一人二役をこなさせた川島雄三の力量と才能が光り輝く。役者、脚本、原作。最高級の素材を使用した最高級の愛笑劇。家族の温もりを味わえる絶品。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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最初に出てくる子供も森繁久彌じゃないのか?と思わせるぐらい、でだしから作品の魅力に心掴まれる。

森繁久彌の二役。両方共に独特な特徴があり、ちがった方向からの成長をしているので、演じ分けるには並大抵の努力以上の努力が必要とされる…ところに、今まで演じてきた役柄がいつもながらに活かされている。いつもながらの演技をしつつも、いつもながらを豹変させている森繁久彌の凡人には見抜けない能力を天才肌と呼ぶのだと感じた。(川島雄三の力量によって引き出されたのもあるが、森繁久彌そのものの力があればこその作品だと思う。)

それに負けず劣らず、その主役を取り巻く山田五十鈴と乙羽信子の演技が、女の陰陽両面の魅力を手分けして交互に表現する姿は、大道芸、職人芸、名人芸。特に山田五十鈴の結婚したてと、子供が産まれた後の演技の棲み分けを完璧に完成させている点はとても素晴らしかった。

五十鈴主義、イスズムとして継承されていくべき全人類の宝です。久彌主義も。

それと、話の面白さ、セリフの面白さそのものを重要視する姿勢を忘れてはいけない。今の映画は話がないから映像で語りすぎる。映像で語るより、話で語らないと作品は時間をおけば不味くなるのだというのがよく分かる作品ではないだろうか。セリフで酔いたい。

2003/8/11

(評価:★5)

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