[コメント] MAD CATS(2022/日)
次にトレーラーハウス。こゝはシネスコを活かした画面だ。ラジオの英語ニュースで、エジプトから帰国した考古学者が行方不明になっている件。主人公はこのトレーラーハウスの住人・タカ−ミネオショウ。管理人(大家)のオバサンは白人で英語を喋る。家賃の催促と、封筒の手渡し。封筒の中身はカセットテープだ。再生すると、お兄さんは猫を拾ったところに拉致されている。祀られている小箱も取って来ること、という女性の声。
タカは自転車で出発するが、すぐに2週間後という字幕が入る。もう確信的にいい加減さを志向している映画だと分かってくる。タカは大邸宅に入るが、誰も彼に気づかない、早々に先のメッセージの小箱を手に入れる、というのもいい加減。しかし、邸内の階段と螺旋階段は良い装置だ。階段の俯瞰。地下の牢屋で兄(冒頭の2人の内の一人)−山中聡と再会する。タカはすぐに逃げろと云われる。多分、すぐに邸の外を走るショットが繋がれると予想するが、的中してしまうのだ。
そして、逃げたタカはどこかの屋内駐車場でホームレスのタケゾウ−松浦祐也と出会う。さらに、ステーションワゴンの強奪と、ヒロイン−絢寧の登場。この女優、青木柚に似ている。猫顔。といった具合で、主要人物が揃ってくる。この後すぐのダイナーのシーンにおける、ローラースケートのウェイトレスが上手く滑れない描写は、ワタクシ的には一番クスっとさせられた部分かも知れない。奥の席でミルクを飲む絢寧。
さてさて、ファイトシーンはほとんど絢寧が受け持つのだが、ほゞフルショットがない。ニーショットか、ウエストショットばかりなのだ。この見せ方ではアクションのレベルが上手く伝わらないじゃないか。また、タカとタケゾウが勿体ぶって武装するシーンが来て、やっとこの2人のもまともなアクション場面が見られるかと思ったが、やっぱりまともに闘わない。これにはイライラする。タカのお兄さんの脱獄場面にもイライラする。猫は9回生きる、という理屈の都合の良さ。敵のボスは車椅子で黄金銃という魅力的な設定なのだが、ボスを演じる女優は、可愛いだけで、何ら機能しないのだ。それに、タカとタケゾウと絢寧の3人がドライブするシーンでのスクリープロセス風合成処理は、外国の風景をバックに使っていると思うのだが、なぜかワザとノイズを付加している。どうしてこんな汚いことをするのだろう。というワケで、『ベイビーわるきゅーれ』に肉薄するレベルを期待していたが、足元にも近づいていない。逆に云うと、あのシリーズの出来の良さを再確認した。
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