[コメント] Broken Rage(2024/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
かっこつけているものをコキ降ろすという芸風のたけしが、バイオレンス映画の巨匠である自らのみそぎというか茶化しをしておく必要にかられて「Broken Outrage」を作ってみたのだろう。同一のシチュエーションから暴力を導き出せるならギャグにできるし、ギャグになるなら暴力描写として恐怖を表現できる、という実験なのだがあまり上手くいってない。やっぱり同時にそれを並べるというのは難しいように思う。あるシチュエーションを提示して観客に笑ってもらうか暴力を感じてもらうか半々の反応を引き出す(どっちにもとれる)みたいなことはこれまで何度も試みてうまくいっているし(『その男、凶暴につき』など)、タランティーノの映画なんかでも成功例はいくつもあるので、今回はそうではなく、「暴力⇔笑」の構造そのものを提示してみたかったのだろうとは思う。しかしそれを反復するという手法は安易な発想だし、やってみてやっぱり上手くいってない(と思う)ので、なんか他に方法はないもんかな〜と思ってしまった。
トロフィーの先っぽがとれてしまい何とか元に戻そうとして上手くいかないのを周りのヤクザたちがイライラして怒号を浴びせるシーンは面白かった。面白かったのだが、これは「ある状況内にいる人間があることに真剣になればなるほど部外者には滑稽である」という笑いの形になるので別に新しい実験にはならない…。そうなると『アウトレイジ』や『BROTHER』なんかを武自身が観ながらツッコミを入れてそのセルフパロディをやるみたいな方法がやっぱりしっくりくるのかな。…それじゃ『たけしの思わず笑ってしまいました』のドラマ研究家じゃん!!
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。