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[コメント] 黒い下着の女(1982/日)

社会の秩序に対して攻撃的で、他者との距離は曖昧なのに支配欲は強い。生きるための“生”には無頓着で、肉欲の赴くまま“性”の快楽だけを刹那的に消費し続ける。そんな愛情の断絶の化身が放つ純度の高い吸引力に男たちは引き寄せられ、振りまわされ、散っていく。
ぽんしゅう

ロマンポルノで描かれた壊れた女たちの系譜を思い出す。『(秘)色情めす市場』(脚本は本作と同じいどあきお)」のトメ(芹明香)は虚無の反逆を生き、『赫い髪の女』の捨て犬のような女(宮下順子)は被虐の不安を生き、本作の麻美(倉吉朝子)は無自覚な吸引と放棄を生きる。

家族を知らず捨てられ続けて育た女が、家族のようなモノの気配に導かれ向かった先は、しょせん行き止まりでしかなかたという、初めから約束されていた悲劇。

荒涼とした女の孤独感を象徴してゾッとさせる山崎善弘撮影の渾身の鳥瞰ショットに唸る。

(評価:★4)

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