[コメント] 授業料(1940/韓国)
とても瑞々しい映画で、名を伏せて清水作品と云われても判らないだろうし、『風の中の子供』より優れている。植民地映画の胡散臭さがどうしようもなく拭い難いのが残念。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭の校庭、児童の蹴るサッカーボールがまるで風船のように中空を舞うショットにまずシビレるし、このボールの行方で物語が発動するのが美しい。少年と少女が木っ端拾いを競い合ってあわや喧嘩という瞬間に川に魚を見つけ、とたんに協力して魚取りに興じる件は最高に美しい(少女が包んでいた木っ端を捨てて布きれを広げるのがいい)。少年の長旅の描写は、真正面からの移動ショットなどまさに清水を想起させ、並木を背景に土手で愉しそうに食べる弁当のショットなど詩情が弩級に達している。室内の構図にも天性のものがある。
日本の先生が授業料にと祖母に渡したお金は地代に取っていかれ、少年は親戚を頼って授業料を収める。そこで先生は、授業料の払えない者のためにと義援金集めを始めたのだと少年に披露するのだが、少年はイマイチの反応を示している。穿った見方をすれば、日本人に授業料の心配をして貰うには及ばない、と言外に語っているニュアンスが確かにある。このようにこっそりと抵抗を示していたのだ、と受け取りたい。八木はどこまで自覚的だったんだろうか。
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