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[コメント] メガロポリス(2025/米)

コッポラの映画を見るのは「胡蝶の夢」以来実に18年ぶり。コッポラもすでに85歳。そろそろ自分自身を「総括」あるいは「映画の遺書」で残したかったのだろう。そしてこの映画、題名は「メトロポリス」ならぬ「メガロポリス」で、恐らく「メトロポリス」のオマージュでもあろうかと思う。
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映画を見終った人むけのレビューです。

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オマージュと言えばこの作品は現在のローマ(分断アメリカ)をテーマとしている。古代ローマから現代に通じる文明社会を揶揄するかのような絵巻物のような色彩、絢爛たる美へのあくなき追及はまさに現代のルネッサンスでもあり、コッポラのお手の物だったろう。

ローマと言えばやはりあのフェリーニの「8 1/2」を意識しているなあ。映画作家って、1作はこういう自分探しモノを作りたがるんだね。コッポラ、お前もか、ですね。 2時間半。セリフには特に難解なものは見られない。それほど哲学的なセリフもない。目の前に繰り広げられる現代絵巻を楽しめばいいのだ。見ていて、あっと驚くのはまず、僕の青春墓碑銘たる映画「真夜中のカーボーイ」のジョン・ボイトとダスティン・ホフマンのご両人だ。結構重要な役柄である。彼らとコッポラと関係は?

そしてかの「ゴッドファーザー」のタニア・シャイア。セリフは少ないがもう見てるだけで彼女への敬意を感じるネ。主役のナタリー・エマニュエルも新鮮でいい。美しい! アダム・ドライバーは無難な演技。というか、演技のしようがないか。ドライバーの役名がカエサルだから、恐らくこの映画の後で暗殺されるんだろうが、何かそういうお遊びもあちこちに散らばっている。

俳優陣、誰だと思ったらシャイア・ラブーフ。コッポラ映画で楽しんでる。そして同じく出演して喜んでる風なローレンス・フィッシュバーン。どうせだったら、キアヌ・リーヴスも出せばいいのに。でもそうするとコッポラ映画でなくなってくるか?

いやあ、長年の映画ファンはこの映画を見ずにして映画を語れないだろう。観客席は我らの年代も多かったが、若い人もちらほら。ガラガラだろうと思っていたが、結構席は埋まっていた。

映画ってやはりすごい。僕はこの映画から限りないチカラをしかと受け取りました。コッポラさん、ありがとう!

(評価:★5)

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