[コメント] スーパーマン(2025/米)
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もちろん(スーパーマンコスプレAI画像をドヤ顔でSNSで拡散させる)米国大統領トランプとその支持者や権利の告知無しに(不法かどうかを問わず)移民っぽければ拘束しまくる移民関税執行局に対する明示的な揶揄だけでなく、クローズアップされる街の人々はびっくりするほど白人以外比率が高いあたりも含めて(米国が本来大事にしていた)自由と人権を擁護する物語なのですが、そういうのをすっ飛ばしてキュート。まあいつものジェームズ・ガンではあるのですが、そこらへんが『マン・オブ・スティール』との違いでもあって、そもそもテンポの良さが本作の方が圧倒的に良かったりして、それは、スーパーマンが地球に送り出された経緯やクリプトナイトが弱点であることをサクッと台詞の中に潜り込ませて、とっととやりたいことをやり始めるという潔さによるものかと(編集が偉いのかも)。
さらに、冒頭の気胸っぽい呼吸音から「ホーム」と呟く『マッドマックス 怒りのデス・ロード』へのオマージュ(ですよね?)だの、ギレルモ・デル・トロなクリーチャーだの、犬だの、そこここに滲み出す「好き好き大好き!」感も愛おしい。
そして何よりニコラス・ホルト。超ハンサムなのに情けなく、最後は泣いてみせるとか、クリプトを遥かに上回る(ダメ)子犬感。加えて、スーパーマンを演じたデヴィッド・コレンスウェットは往時のブレンダン・フレイザーやティム・ロビンスのような、自分のでかい体を持て余して困惑している少年、というかこれまた子犬で、この映画はキャスティングの勝利でもあり、犬の勝利なのですよ、きっと。
(そういう意味では、犬がでてくることを知らないまま冒頭シーンを見て「いぬぅ??」ってびっくりしたかった。あ、これまたいつも妻の言ってる「オープニングシーンがその映画のすべてを語る」ですね。)
<つらつら考えて追記> 出自より育ちというのは、『ハリー・ポッター』の対極で、実は親もいい人だったという安心なオチにしないのが最高。 とは言え、やっぱりイブの「金髪ノータリン」なステレオタイプ造形はもんにょりする。ノータリン女性をノータリンかつ女性だからという理由でそばに置いて、同じ理由でないがしろにするレックス・ルーサーがその報いを受けるという展開だとは言え。そこらへんがジェームズ・ガンの限界という気もしますが。
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