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[コメント] おかしな奴(1963/日)

実在の落語家・三遊亭歌笑の人生を描いた渥美清の東映第一回主演作だ。「寅さん」以前の渥美清は寅との差異に違和感があり過ぎるものもあるが本作は殆ど違和感がない。
ゑぎ

 こちらはかなりインテリだし社会的にも成功者なのだが、しかし女にダメな部分は寅そのものだし渥美の演技の温度が初期「男はつらいよ」にかなり近い。

 一方で本作は『人生劇場 飛車角』と同年の沢島忠の映画なので、人物を横移動でスピーディに追う沢島らしさがよく出て来る。戦後の闇市で子供のスリに財布を掏られ追いかける渥美を横移動でとらえるカメラは『一心太助』シリーズの魚河岸を走る中村錦之助のカットと同じ見せ方だ。こういう演出は松竹では絶対にやらない、というものだ。また照明の工夫もよく目立ち、ランプの灯りを揺らせるカットや楽屋の渥美へのキーライト、或いはラストの野球場の照明もかなりいい。屋内の俯瞰では電灯の笠の上からのカット。屋外では南田洋子と渥美の番傘の俯瞰など、演出の見所もかなり多い映画だ。

 脇役について記す。渥美の母親は清川虹子で定番の駅の別れのシーンがなかなか泣かせる。残念ながら父親役の人は私には分らなかった。allcinema や goo映画 などに記されている加藤嘉でないことは確か。上京して弟子入りした先の師匠は石山健二郎。兄弟子に佐藤慶。女中に三田佳子。この3人に加えて後れて内弟子になるのが春風亭柳朝でみんな実にいきいきと描かれている。弟子入りのシーンでは渡辺篤が按摩で登場。寄席の裏方には田中邦衛がおり親友になる。寄席のお嬢さんが南田洋子。その父は明石潮。(この役も allcinema や goo映画 では坂本武となっているが坂本ではない。)他の裏方で杉狂児、落語家の重鎮で十朱久雄。といったところか。この中では渥美と2人のヒロインを除けば何と云っても佐藤慶がもうけ役。役もいいが、やっぱり上手い。

(評価:★3)

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