[コメント] 隣のステラ(2025/日)
星題名の「隣の」の意味は、幼馴染のチアキ−福本莉子にとって、幼少期から八木はずっとスターである、ということだと思うが、一方、八木にとっても、福本がスターだということがポイントだ。それが、いわゆる「両片思い」として描かれる映画だ。
冒頭プロローグ、幼少期の2人(チアキ−照井野々花とスバル−三浦綺羅)の場面からとても丁寧に作られている。それはシネスコ画面を丁寧に使っているということだ。2人にとっての秘密の場所−大きな木のある丘の上で、夜、星を見るシーン(そう、実は「空の星」についても画面に何度も登場するし、科白でも言及される。例えばスバルの部屋の天井には星座マップが貼ってあったりする)。
あるいは、題材的に、本当の気持ちを伝えないとかワザと心と裏腹なことを云うといった場面が繰り返されるのだが、観客にはその本心が推量できるように作られており、とても素直なプロット構成だと感じる。例えば、福本は、思ったことをワリと大きな声で口に出す。それも度々だ。これも素直な造型で気持ちがいい。勿論、福本が八木にキチンと告白する場面がハイライトの一つと云ってよく、この場面の彼女が全編で一番美しく撮られているというのも、映画作りとして素直な点だろう。
あと、序盤から、福本の家族−父の宮崎吐夢、母−清水美砂、妹−泉谷星奈は描かれているのに、八木の家族は隠蔽されていて、ずっと気になっていたのだが、泉谷星奈の8歳の誕生日パーティのシーンで、やっと八木の母親−紺野まひるが登場する。これが、なかなかいい役割を果たしてくれる、というのもプロット構成として良いところだと思う(原作通りなのかもしれないが)。
そして、終盤にもう一度丘の上での場面となる展開は流石にワザとらしいとも感じるが、こゝでの八木のリアクションは、この手の映画の中では珍しいものだろう。この場面こそ、本作が素直な映画だと感じさせる最たる部分かも知れない。さらに、エピローグ−窓を挟んだ2人のシーンは、もう屋上屋を重ねるような、ダメ押し感もあるけれど、それでも、なんか許せてしまう気持ち良さがある。
#備忘。公式サイト等含めてどの映画サイトにも重要なキャストの情報が掲載されていないと思われるので、書いておきます。
・田鍋梨々花といつも一緒にいる感じの同級生・翔太は田中偉登。
・舞台挨拶の場面のエンケン−遠藤憲一の扱い。後景に映っているショット。
・福本莉子の幼少期を演じる子役−照井野々花の名前を調べるのは手間取った。
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