[コメント] 女性の勝利(1946/日)
三浦光子が告白シーンで見せる狂乱演技はパワーが有るが、それを受ける側の田中絹代が大人しいお芝居の枠内に留まるのが苛立たしい。徹頭徹尾、戦後民主主義教育の教科書的な台詞が空々しい。時代を越えて観るに値する映画ではない。
第一、田中の進取的な主張が結局、恋人・徳大寺伸の受け売りのような形式になっている面が強すぎる。田中のなまな感情から湧き上がる思想になり得ていない。そして裁判シーンは、田中の情緒的な主張、事実認定よりも思想的な主張の衝突に傾きすぎていて、不自然な裁判に。敵役の松本克平も、それなりに一家言ある法律家としての矜持を与えられてはいるが、やはり頑迷な前時代的人物という戯画を逃れていない。登場人物皆が、民衆啓蒙用のお人形でしかない。
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