[コメント] 名刀美女丸(1945/日)
「この刀には心がない」「ええっ、心」てな具合の出鱈目な戦中映画だが、いつもの「撃ちてし止まむ情報局國民映画」なるテロップが見られないのは物資不足のせいなのだろうか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭の剣道で防具をつけぬ父親に面を喰らわせたり、言い寄る花柳章太郎の頭を竹刀でポコンと叩いて悪戯っぽく笑ったり、山田五十鈴にしかできないコケットリーがいつもながらいい感じで、本作は彼女を中心としたギャグ映画なのだろうと当てをつけてしまったため、父親の刀が折れる件も、内藤殿が唐突に真剣を振り回したとき(このシーンは無茶だ)も、すでにシリアスに展開しているにもかかわらず爆笑してしまったのだが、しかもこれで鑑賞には何の差障りもなかったのだった。どうでもいい物語なのだ。
『宮本武蔵』の無茶苦茶が嘘のように撮影は厚みがある。敗戦間際にこんな立派なセットを組んでいる松竹って何なのだろうと思う。ショットが反転すると笛吹く謎の男が現れる二人の誓いの件は新派劇の艶やかさがあり、火花散る鍛治場は緊迫感溢れ、決戦のドリーショットも格好いい。ラストの船上撮影も爽やかで、勤皇思想って何だったっけという収束と相成るのが素晴らしい。
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