[コメント] 人間蒸発(1967/日)
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この映画の余波はある意味ドキュメンタリーとしての映画と、ドラマとしての映画のに二分法的に脈々と存在意義を放っていると思いますね。
たとえはいくらでも掲げられますが、最近で申しますと『靖国』なんてどうでしょう。この映画、私は結果的にあまり好みではないのですが、”靖国神社”を客観視するため、日本刀を作る職人の無言の作業を対比させる、という手法。これ『人間蒸発』にも似たシーンがありますね。つまり、失踪した男性の妻と、露口茂の関係。これは全く無関係ですね。でも話が別々に存在しつつも、同じドラマの中で収まっている。しかも全く関係がないと思われる週刊誌まで巻き込んで、もっと複雑な関係を作り上げていますね。
恐ろしい、と思います。
『ゆきゆきて、神軍』だって『全身小説家』だって『シッコ』や『華氏911』にしても、記録映画としての手法を用いた映画というのは、いずれも全く別物を同じスクリーンで表現しているに過ぎないのですね。
ずいぶん前の映画ではありますが、マスコミやらジャーナリズムやらっていうのは、とても恐ろしいものですよね。本当に怖いと思います。
若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』という映画だって、史実でありながらドラマになっている。ドキュメンタリー以上の迫力で我々を不愉快な思いに至らしめます。
つくづく、この映画で今村監督が「フィクションなんですよ」と発したセリフが恐ろしく感じられます。
2009/04/04
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