[コメント] 喜劇 陽気な未亡人(1964/日)
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OPに夕暮れの空を飛ぶ発光体はフランキーとすぐ判明するのだが、白く発光する彼の二重写しは、特撮の東宝にしてはもうひとつ上手くいっていないと思う。未亡人たち行く末が気がかりと出てくるフランキーの幽霊。どの未亡人も相手はフランキー、「男というのは女にとって、ある意味ひとつのものなのである」という警句込みのギャグが敷衍されている。
しかし、まだ相手の坂本九が死んでいない中尾ミエがこれを相対化するのが気が利いている。「未亡人なんて云い方、私は認めない」と明るく作品の趣旨を全否定する。結婚すると退職で失業するのが女の独立にならないと悩んでいる。『台所太平記』の森繁の、女中なんて文化はもう終わりという感慨と共振しているだろう。
他のご婦人方は封建主義を引きずっている。宴席で未亡人大会。淡島が水谷に引き続き『男性飼育法』を語るという横断ギャグ。望月は顔のどアップで「亭主が死んだときに光が差してきた」と語る。四人が畳に横臥する肢体を天井キャメラは記録する。
脇筋にいる池内淳子の未亡人、べらんめえ口調の八百屋で健康体でGパンがはち切れんばかりで無茶苦茶色気がある、フランキーと部屋にこもるのを嫉妬して戦死したのだろう突撃ラッパを玩具にする息子がオート三輪で店に突撃し、放火する。池内は改心してふたりで田舎に帰る。アラタマは自宅のアパート改装の設計したこれもフランキーと再婚話を進め、サティーは回避された。
このアパートにはガス瞬間湯沸かし器があり、トイレも水洗と云われる。冒頭、望月は墓掃除するといいことがあるのだと掃除に励んでいる。そんな話ははじめて聞いた。アラタマが墓石10万もするからと流用を果たす。東京映画、カラーワイド。
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