[コメント] なつかしき笛や太鼓(1967/日)
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自殺した戦友の赤ん坊の面倒を見るために、離島の学校に志願して赴任(昭和29年から42年まで)する先生夏木陽介の話。この子を養子に迎えており、転出はこの子の高校進学に併せたものとさらりと語られている。
スポーツによる旧弊の村の改善の物語。塩飽諸島の小手島と指定され、最後には昭和38年にバレーで香川県一位になり、「無法の島も明るく一変」という新聞が引用される。こういうのは本物なんだろう。最初、漁民たちは子供に「一文にもならんのに」とバレーさせるのを嫌がり、博打を教え、酒を呑ませているのだった。そうして徴税職員を集団で襲っている。夏木が選手である生徒を確保するのが、乱暴な親との(議論ではなく)格闘の勝利によるのがキノシタらしい。
本作の主張はあの、現実のように長いバレーの試合なんだろう。一回戦から準決勝決勝と、三セットマッチをとうとう全部追いかけた。勝ち負け不明のなか鑑賞させるという趣旨に違いなく、それには成功しており、勝ってよかったねという感想はあった。撮影が小技をいろいろ織り込んでいる。9人制バレーはサーブが二回できるのを思い出した。がまあしかし長過ぎ。ルールを知らない浦辺粂子が観戦に飽きて、丸亀城址などで孫を遊ばせている心境が判る。
児童生徒の描写は、前半は集団としてだけ示し、後半に少しずつ個々人の顔が判るように撮っている。ダサい木下忠司の音楽はぶち壊しで、この点も70年代に先駆けている。笛太鼓で全編通せばもっといい映画になっただろうに。一方、撮影はとてもいいものだ。グラウンドから落ちて坂道を海岸まで転げるボールを追う生徒たちのショットなど、とても感じがいい。ベストショットはバレーのネットの影舐めるショット。遠藤辰雄の教育長は信じられない。
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