[コメント] あ・うん(1989/日)
テレビ版が良かった作品だったんだけど、配役が違う劇場版は、これはこれで味がある。
向田邦子の小説の映像化。原作自体がテレビを前提に作られていたようで、読んでいるだけで情景が思い浮かぶようだった。しみじみとこの原作者はテレビの脚本を書く。と言う点において紛れもなく天才だと思った。本来これからと言う時に亡くなってしまうとは、テレビ界にとっては大変惜しいことだ。本作もテレビ向きだと思っていたのだが、降旗監督は見事にこれを劇場用として観るに足る、良き作品に仕上げてくれた。
経緯は覚えてないのだが、何故か本作は劇場で観た。大学に入ったばかりだった時で、多量に映画を観始めた時期だったから、何となくたまには邦画も観ておこうと思って観たんじゃなかったか?
でも楽しめた。邦画も良いもんだ。と言う認識を与えてくれた作品となった。
ここに出てくる門倉という家庭は決して特別なものではなく、どこにでもありそうな、そしてどこにでもあるからこそ、小さな問題をいくつも抱えた家庭である。この小さな空間の中で起こるドラマを、水田という外来の存在を配することによって、一種不思議なバランスを醸しているのが特徴。
どの家庭にあっても、子供は親には言いたくない事の一つや二つ、必ず持つものだけど、それを相談できる大人がいるっていいもんだな。
昔の日本的な感覚って、そう言う近所づきあいや人間関係で成り立っていたはずなんだよな。鬱陶しいところもある反面、日本を語る上でとても大切な部分だったのかもしれない。
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