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[コメント] 地獄変(1969/日)

退廃貴族と退廃芸術を69年に描いて、昔からグロってのはこんなもんだよと語る老教授の美術史講義の趣。仲代がイマイチだろう。ワハハハハと狂い笑う萬屋に圧倒されている。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







平安朝、藤原氏、民衆は苦しんでいて、貴族も無常観を抱いて何かに怯えていた、と語り始められ、娘の内藤洋子の「焦熱地獄」の殺害現場を描かせた仲代の地獄絵のまさにそのように萬屋は炎上した俥に追われて焼かれて果てる、という有名すぎる話。影のない淡い色使いの人工的な色彩が意欲的だが、夜と闇の件が多いので徹底はされない。

興味深いのは絵師仲代が帰化人であり、「唐絵」はもう疎んじられている時代遅れだという設定。これは芥川の原作にはない。高麗は住み良い国になっている、帰りたいという人が多い、と云われるなか、錦之助は「帰りたいなどもってのほか、お前たちの先祖は捕虜だったのだ」と脅している。内藤の彼大出俊は日本人なので仲代に結婚を許可してもらえていない。しかし結局、この主題も突き詰められはしなかった。本作は豊田作品では珍しく東京映画の表記はない。カラーワイド。

(評価:★3)

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