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[コメント] 張込み(1957/日)

橋本忍の傑作脚本。短編小説脚色の教科書。あんぱんと牛乳より基本。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







30数年ぶりの再鑑賞。久しぶりに観たら新たな発見がいっぱい。

おそらく映画内の時代は製作当時の1958年(昭和33年)でしょう。『ALWAYS 三丁目の夕日』というショーモナイ絵空事作品の時代設定が同じ昭和33年だったはずです。当たり前っちゃ当たり前なんですけど、そのリアリティの差に唖然としますね。東京と地方の差があるにせよ、絵空事ではないこの時代のリアルは画面の濃度が違う。

特に、長いアバンタイトルで描写される鉄道シーン。この長旅を観客に体感させる手腕。あと、汗ね。黒澤明の『野良犬』や『天国と地獄』も夏ですよね。「手に汗握る」サスペンスは、文字通り観客に汗を感じさせようとしているのかもしれません。そうした夏の暑さも手伝って、熱量が凄い。野村芳太郎39歳、橋本忍40歳。まだまだ若い。橋本忍なんか百歳まで生きましたからね(<それは関係ない)。製作陣が年寄りだと、視点が老成して、ここまでの熱量を帯びないと思うんです。

改めて観てビックリしたのが、結構カメラが動いていること。当時のカメラは大きいし重いし、当然、手振れ補正機能なんかありませんからね。なんなら、クレーン使ってるよね。え?佐賀までクレーン運んだの?でも室内でクレーンは使えないから、手持ち移動してるよね?野村芳太郎って時折無茶な撮影しますよね。

あと、やっぱり脚本が素晴らしい。

大枠は、張込みをする刑事の物語です。その枠の中で、見張られている人妻デコちゃんの物語があるわけです。退屈な日常と「元カレ」という非日常の物語です。そして、そんな人妻の「日常と非日常」を垣間見た若い刑事が「自身の結婚(=日常生活)を考える」物語にもなっている。

まあ、この若い刑事はその後、名探偵になるんですがね(すいません、『黒蜥蜴』の話をしています。気にしないでください)

(2024.07.29 CSにて再鑑賞)

(評価:★5)

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