[コメント] 人間の條件 第3部望郷篇・第4部戦雲篇(1959/日)
とにかくストレスが溜まります。演出に関してはすごく良いので、それが救いか?
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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五味川純平の歴史小説の中編となる本編。第一部と第二部では会社の中で、中国人を同じ人間として遇しようというあがきが描かれていたが、ここでは梶の思いとは全く逆に中国人を殺すことを強いられる軍隊の中での話となる。
梶は非常に人文的な人物で、人間を人間として扱うと言う、平和な世の中であれば実に当たり前のことを主張しているに過ぎない。だが戦争中という非常時にあって、それは通らない主張だった。それを隠して生きていくことが一番賢い生き方だろう。
だけど梶はそれができなかった。不器用と言えばそれまで。馬鹿と言われればやっぱりそれまで。
その馬鹿さ加減を、“力”として描いていれば本作はもっと力強いものになっていたのだと思うが、それを本作では“抑圧”としてのみ描いてしまった。これは、結果として観ていてきつい“だけ”の作品になってしまったと言うことになる。ひたすら延々といじめに耐えていて、その中でやっと理解者が出たと思ったら、前よりもっと厳しいいじめに…作ってる方がサディストなんじゃないのか?
ひたすらしごきを耐えるだけという物語が好まれる時代はあり、本作はその最後の時代を象徴するようなもの。時代性とともに観なければただキツイだけの物語になってしまう。正直観ているだけで苦痛を感じてしまった。
3部ラストの雪の中での再会シーンは大迫力。ここは本当にたいしたものではあると思うのだが…
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