[コメント] 人間の條件 第5部死の脱出・第6部曠野の彷徨(1961/日)
これは間違いなく家族の映画だ。戦争映画の体をなした愛の映画だ。反戦を謳うには、やはり愛の力をもって説明するのが絶大な威力を持つことが証明された瞬間。レヴューは5部と6部に分けて書いた。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
第5部・・・梶も、生きるために積極的に人を殺し、生きるために略奪もする。敗残兵の宿命。人間の条件とは何か。揺らぐ基準。しかし、その中にあっても、強姦や強盗だけは赦さない。梶の矜持。
「貴様、明日から四足で歩け!」
第6部・・・彷徨いの道程で出会う女たち。ロシア兵に身売りしながら生きながらえてきた女。ロシア兵に強姦されても帰郷の志を捨てない女。そして、盗賊まがいの敗残兵に陵辱され殺された女。ロシア兵や敗残兵に身を委ねながら、窮地から救い出してもらうことをひたすら待つ女たち。
「ムチャクチヤなんですよ、もう何もかも・・・」
そんな女たちの言葉が妻の言葉に聞こえてくる梶。それでも梶は妻の待つ南満へ帰ろうとし続ける。
部落の女に裏切られ、ロシアの捕囚になってからも梶は己と己の周囲を守り続ける。最低限の、人間としての扱いを受けられるよう反抗を試みる梶。全ては妻の待つ南満に帰るためだけに。脱走し、乞食をしながら歩き続け、ラスト凍死する梶。
梶は愛する妻の許へ帰り着けたと信じたい。
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