[コメント] 非行少女(1963/日)
前作の『キューポラのある街』に比べると、随分と通俗的な作品になっている。お話もそうだが、それ以上に画面の力のことを云っていて、金沢の街並み、兼六園、内灘の浜辺と砲弾試射場跡、内灘闘争(米軍基地反対闘争)といったロケーションや、道具立てを用意しても、画面の力は『キューポラのある街』に及ばないのだ。
それは、主演女優の求心力の差かも知れない。あるいは、魅力的な脇役の多寡の問題もあるだろう。ただし、本作のタイトルロールである和泉雅子(当時16歳)も実に頑張っているし、劇中何度か「別嬪」と言われるが、全く首肯して見る。とても可愛い!
力の入った細部は多々あるが、浜田光夫が、北林谷栄と佐藤オリエと共に暮らすようになった家の、燃える鶏小屋と逃げ惑う鶏のシーンは、これはかなり大変な撮影現場だったろうと思わせる。あと、金沢中央児童相談所のシーンで、高田敏江と鈴木瑞穂のとってつけたような説明台詞には唖然となったが、マジック・ミラーの向こうで、狂ったように暴れる和泉雅子は、こゝだけ別人のようで驚く。
#備忘で配役等を記述。
浜田は和泉の幼馴染。勤めていた会社が潰れて東京から帰郷した青年。和泉の父親に浜村純。継母が佐々木すみ江。浜田の母親は小夜福子。兄は小池朝雄で町会議員を目指す。兄嫁に香月美奈子。
金沢の映画館。『黄色いリボン』のポスター。「松竹座」という看板。日活作品であるにも関わらず。
和泉の「金沢のおばちゃん」に沢村貞子。その情夫が藤岡重慶。若い!小沢昭一は学校の小番(こづかい)。和泉に言い寄る。和泉の幼馴染で、レイプしようとするチンピラは杉山俊夫。和泉が後半入園する養護施設の先生で高原駿雄。その奥さんに小林トシ子。野呂圭介は浜田の友人で祭りのシーンと、浜田が勤めている工場でも登場。
金沢駅の他に河北潟という駅と加賀笠間駅が出て来る。
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