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[コメント] アンデスの花嫁(1966/日)

アンデスの山を登る母子。左幸子はヒールのある靴。子供は、よそ行きの服を着ている。唐突に面を被った男の顔が出現し、覆面をした男たち数人に囲まれる。尻を押される左幸子。お祭りか?
ゑぎ

 村の広場に日本人男性がおり、左幸子に対し、「君の歓迎だよ」と云う。この男が太郎で、嫁いだ相手なのだ。これが、云っちゃ悪いが、さえないルックスの男。私はてっきり、高橋幸治が夫役なのだろうと思っていた。しかし、この太郎の科白のたどたどしさが、だんだんと面白くなって来る。自然な感じでいいのだ。現地で選ばれた素人らしいが、最終的には見事なキャスティングだと思えて来る。対して、左幸子は、流石に女優。日に焼けて、ソバカスが目立っても、やっぱり美形だし可愛い。薬師丸みたい、と思いながら見た。太郎にしなだれかゝり、あなたの子供を産みたいと云う。「好き」という感情がよく出ている。

 さて、序盤は特にだが、手持ちのブレ画面が辛かった。インディオの若い娘との喧嘩シーンなど。中盤の、高橋らの農園のシーンなんかは、落ち着いた固定ショットとなる。プロの俳優は左幸子と高橋幸治の二人だけのようだが、高橋が出て来ると、やはり画面も落ち着くのだ。

 見る前は、現地の様子をそのまゝ撮って、少しストーリーを加えた、ほとんどドキュメンタリーのような映画かと予想していたのだが、実際は、ちゃんと練られたプロット展開を持ち、現地のインディオたちや町の人にも演技を付けた、しっかりとした劇映画だった。それだけに、撮影現場の大変さがオモンパカれるし、果敢に挑戦したスタフ・キャストを賞賛すべきだと思う。ただし、せっかくの異境の地を撮るのだから、もっと驚くようなスペクタキュラーな画面も欲しかったと思う。最終的に、左幸子の気迫と存在感に圧倒された、という感覚が一番残る。

(評価:★3)

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